「歩くと股関節が痛い」という症状が起きる場合、その原因として最も多いとされているのは「変形性股関節症」です。痛みをそのまま放っておくと、日常生活にも影響が出てきてしまうでしょう。
この記事では変形性股関節症について股関節の構造を知ることから学び、その原因や症状、治療法などについて解説します。
1. 股関節の構造
歩くと股関節に痛みがある原因を探るうえで、股関節の構造を知っておく必要があるでしょう。股関節は大腿骨と骨盤がつながっている部分の関節です。大腿骨の先端である、大腿骨頭は球状になっています。大腿骨頭を受け止める骨盤側は臼蓋と呼ばれ、丸くくぼんでいます。大腿骨頭が球状で、丸くくぼんだ臼蓋で動くことができるために股関節は可動域が広くなっています。
骨と骨は硬いので、直接触れ合うとそれぞれの硬さですり減っていきます。そのため、正常な臼蓋や大腿骨頭はなめらかな軟骨で覆われています。軟骨には水分が多く含まれ、神経や血管は通っていません。軟骨は骨と骨がぶつかり合う関節の衝撃を吸収し、関節の動きをスムーズにする役割を果たしています。
2. 変形性股関節症とは
「歩くと股関節が痛い」という場合、次のような原因が考えられます。変形性股関節症は大腿骨頭や臼蓋を覆う軟骨がすり減り、臼蓋や大腿骨頭が変形し、股関節に痛みや動きにくさを生じさせる疾患です。
2-1. 変形性股関節症の原因
変形性股関節症は女性に多い疾患です。そして、原因の8割ほどが先天性の臼蓋形成不全により、臼蓋が大腿骨頭に対して小さすぎたり、浅すぎたりすることだとされています。臼蓋形成不全の股関節には通常よりも大きな負担がかかります。そのため、体重の増加や加齢によって異常のない股関節よりもさらに軟骨がすり減ってしまいやすく、足の付け根の痛みなどが起こります。
ただし、すべての臼蓋形勢不全の方が変形股関節症になるわけではなく、逆にいえば臼蓋形勢不全ではなくとも変形股関節症になる方はいます。
臼蓋形成不全以外で変形性股関節症の原因として考えられているのは、関節リウマチ、成人後の骨壊死などが考えられます。
2-2. 変形性股関節症の症状
変形性股関節症の初期に起こる症状は立ち上がる際や、歩き始める時、階段の上り下りに感じる足の付け根の痛みです。また、股関節回りにだるさを感じたり、股関節に引っかかるような感じやきしみなどを感じたりする方もいます。
症状が進行すると足の付け根の痛みは増し、動くたびに痛むようになります。靴下を履いたり、足の爪を切ったり、和式トイレでしゃがむことなどが困難になります。
症状を感じながらも治療を受けず、変形性股関節症が末期になると股関節を動かさなくても痛んだり、夜寝ている時にも痛んだりします。歩行も困難になり、重症化すると突然激痛が走ったり、寝返りだけでも激しく痛んだりするため睡眠をとることさえできなくなる方もいます。
3. 変形性股関節症の治療
変形性股関節症の治療法については、以下の通りです。
3-1. 薬物療法
薬物療法は変形性股関節症の痛みを軽減するために行います。ただし、残念ながら変形性股関節症を根治する薬はありません。
3-2. 手術療法
手術療法は変形性股関節症の症状が進行している場合に行われます。薬物用法や運動療法、生活スタイルの改善などを行っても痛みが和らげない場合、人工関節手術などを検討します。ただし、手術を行っても、生活スタイルの改善などの他の治療は続けなければなりません。
3-3. 運動療法
運動療法は股関節を動きやすくするために行われます。具体的には、椅子に座って貧乏ゆすりをしたり、足の開閉をしたりの運動を行います。
4.生活スタイルを改善して痛みを和らげよう
生活スタイルの改善をすることにより、立つ、しゃがむ、歩くなどの日常の動作でかかる股関節への負担を軽くし、変形性股関節症の症状を起こりにくくすることができます。
変形性股関節症のためにできる生活スタイルの改善には以下のようなものがあります。
4-1.和風から洋風にする
畳などの床に直接座ったり、ふとんを敷いて寝たり、和式トイレを使ったりなど、和風の生活様式は足を大きく折り曲げ、そこから足を伸ばしたりなど、股関節に大きな負担がかかります。
座る時は椅子を使い、寝る時はふとんではなくベッドで、和式トイレを使っている場合は洋式トイレを使うなど、生活様式を和風から洋風にするだけで股関節への負担をかなり減らすことができます。
4-2.荷物の持ち方を変える
重い荷物を持ったり、荷物を片側の手ばかり持ったりすると股関節にかかる負担は大きくなり、変形性股関節症を進行させてしまう原因になります。股関節にかかる負担をできるだけ減らすため、運ぶ荷物は10kgくらいまでにとどめたり、荷物を運ぶ際にはカートなどを利用したりすると良いでしょう。また、バッグは体の片側にのみ重みがかかりやすいのに対し、リュックは両肩に重みが分散するのでバッグよりも股関節にかかる負担を軽減することができます。
4-3.歩き方を変える
歩くことは変形性股関節症の方にとって最も大きな負担のかかる動作です。できるだけ股関節に負担がかからないよう、歩く時はできるだけゆっくり歩くようにしましょう。また、長時間の歩行はさらに負担が大きくなるので、少なくとも15分に1回は休憩し、痛みがある時は無理をしないように心がけましょう。
5. まとめ
変形性股関節症について股関節の構造を知ることから学び、その原因や症状、治療法などについて解説しました。
「バランスケアラボ」では足元からバランスを整え、身体をトータルで健康にするために、バランスケアアーチサポートインソールの制作を行っています。変形性股関節症などでお悩みの方もぜひお気軽にご相談ください。